気密検査やってる? 高気密住宅について 広島設計事務所ブログ
こんにちは、羽田建築設計事務所の羽田佑輝です。
9月に入りましたが暑い日が続きますが、
朝晩は涼しいときもあり、秋の訪れを感じさせます。
只今工事中の物件にて、先日気密検査を行いました。
以前のブログで気密について少し触れましたが、ちょっとだけ詳しくお話をしたいと思います。
高気密住宅とは
よく気密性を表す値として、C値(隙間相当面積)が用いられます。
建物の隙間を表す数値で、大きいほど隙間が多く気密性の低い建物ということになります。
C値が0.5の場合、100㎡の面積に対して一般的な名刺サイズ(50㎠)ほどの隙間があるという意味になります。
数値だけ見るとわかりにくいですが、断熱性と同じぐらい重要なのが気密性になります。
数値が高いほど高気密住宅になりますが、どれぐらいの数値必要なのか気になるところです。
気密が高いと?
気密性によって様々な影響が出てきます。
どのような影響が出るのか簡単に整理してみました。
①断熱性との関係
高断熱の建物の場合、高気密もセットで考える必要があります。
よく例えられるのが、断熱性がセーターで気密性がウインドブレーカーで、気密性が低いと素肌にセーターを着ているのと似ていて、セーターの隙間から風が入ると寒く感じるイメージです。
ウインドブレーカーを着ることで隙間風を遮断してセーターの暖かさを活かしてくれます。
なので、高断熱であるには高気密である必要があるのです。
断熱性が高く、隙間風も少ない建物だと、エアコンの効率も上がり、建物の省エネ性能も高いということになります。
②外壁への影響
木造の場合、壁の中に空間があります。
冬の場合は屋外が乾燥していて屋内が加湿器などで保湿している場合、外壁の内部に屋内の湿気が入る込むと壁の中が結露してカビが生えたり、ひどいと柱などが腐ってしまう原因になります。夏の場合はその逆ですね。
気密性の確保の方法は色々ありますが、外壁の屋内側に気密シートを施工し、外壁の屋外側に合板などの面材や透湿防水シートを張ることで気密を取ります。
室内の湿気が外壁内に入り込むことをカットします。
屋外側は透湿防水シートというシートを張ると、外からの水分流入をカットし、壁内部の湿気を外に出す役目をしています。
このようなイメージです。
こちらの図にはありませんが、透湿防水シートの屋内側に合板などの面材を貼るケースも多いです。
そうすることで気密性を確保し、建物の耐震性も高まる効果があります。
面材の素材によっては透湿防水シートと同じような効果があるものもあります。
③換気との関係
最近は、建物内部で発生した二酸化炭素などの汚染物質を定期的に外部へ排出できるように24時間稼働する換気計画を行うことが義務付けられています。
建物の中の空気が均一に循環することが望ましいですが、気密が低いと隙間から空気が外へ出て行ってしまうので計画通り換気が行われにくくなります。
そうなると建物内で空気が止まる箇所が出来て、そこに湿気がたまったりする原因にもなります。
気密が確保され、建物内に均一に空気が循環できる計画がされていると、新鮮な空気の確保や、室内のエアコン効果も均一化されて室内環境がよくなります。
④外気との関係
②に関連しますが、外からの空気を遮断することによりPM2.5や花粉などの汚染物質が室内に入ることを防ぎます。
⑤エアコンの効率化
すでに書きましたように、断熱や換気の向上により、エアコンが効率化されます。
それによって電気代の削減や、室内によって空調が効いている箇所とそうでない箇所が発生することを防ぎ、不快感も削減されます。
気密検査やってる?
気密検査の様子です。この機械で建物の気密性を検査します。
気密シートや防湿防湿透水シートを設置したからといって気密性が確保されるということではありません。
むしろ木造の場合、条件によってはシートを施工することが義務付けられておりますので設置して当然の話になります。
気密性の確保は、シートの施工方法や部材の接合部を工夫することでどうやって外気が入って来ないようにするか、考えて設計・施工されることにより実現します。
なので、これまで高断熱高気密の対策をしてこなかった設計者や施工者が気をつけたからといって、急に数値の確保ができるようになるものでもありません。
日々の研究やノウハウの積み重ねによって断熱性・気密性の確保につながります。
気密検査は法的には実施する必要はなく、特別な許可を申請しない場合、検査結果もどこかへ提出するものではありませんので、
気密検査を自主的に行っている設計者や施工者は、普段から断熱や気密について気を付けている方々のことが多いので、信頼できる要素になるかもしれませんね。